2009年8月31日月曜日

否定文を考える2

2009年8月11日の「比較を考える1 」にも書いたように、日本語は日本語には「マイナス」の表現があまり十分には用意されていません。

学習者が間違えやすいのが、以下のポイントです:
日本語訳をすると「否定文=マイナス」になるので、元のフランス語の文も文法的に「否定文」と考えてしまうのです。

1. Je bois peu de thé.
(ぼくはほとんど紅茶は飲みません)

2. Ma mère va rarement au karaoké.
(母はめったにカラオケには行きません)

3. Dans ce groupe, il n'a que des filles.
(このグループには女の子しかいません)

これらの文は自然な日本語訳では「否定文」になってしまいますが、文法的には全て(少なくとも日本語においては)否定のニュアンスをもった肯定文です。

1. の文は「多くはないけどほんの少しだけ」飲むのです。
2. では「頻度は高くないけど稀には」行くのです。
3. はneが入っているから否定文に見えますが、これは一般的には「限定文」と言われるもので、neには文法的な否定文を作る役割は持たされていません。
「女の子だけ」がいるのですね。

「肯定文」なので次のような受け答えになります。

Je voyage rarement à l'étranger.
 - Moi aussi, je préfère visiter mon pays tranquillement en voiture.
海外旅行はめったにしないよ。
 - ぼくも。車でゆっくりこの国を見て回る方が良いな。
(否定文ならば「moi non plus」となるはず)

Est-ce qu'il n'y a que des filles dans cette classe?
 - Oui, malheureusement, il n'y a que des filles. Mais, il y a de plus en plus d'hommes qui veulent faire du français.
このクラスには女性しかいないの?
 - 残念ながらそうなんだよね。でも男性の学習者は増えているよ。

「否定のニュアンスを持つ表現」と「否定文」は区別をしましょうね。
ちなみにne --- queの表現は否定文ではなく限定文なので、queの後の冠詞は変化しません。